曇天に笑うのネタバレあらすじ:起
江戸時代後期、街は、罪人で溢れ、安心できる生活ではなかった。街では、雲家の天火、空丸、忠太郎の3人が、街を守っていた。何か街で反乱が起きると、空丸、忠太郎が敵と戦い、力が足りない時は、天火が「ここは私の掟だ。私の町である」とお決まりのセリフで街の看板となって、敵を倒して、仕切っていた。天火は実の弟ではないが、兄となって、空丸、忠太郎を親代わりに育てていた。空丸も忠太郎も天火に懐いており、天火を兄貴と慕い呼ぶ、仲良しな3兄弟であった。雲家の掟は、笑いに包まれた生活を保つことで、雲三兄弟は街の道しるべとなり、街を守っていた。雲家には、風馬の一存である白子も同居していた。天火は風馬の戦争で荒廃し、血まみれとなった白子を救った命の恩人であり、白子も天火を心より感謝し、信頼していた。街では、雲家三兄弟の他に、山猫という一族がおり、罪人を、人権もなく、牢屋にぶちこむのが彼らの習性だった。牢屋には白子の双子の兄、天竜も拘留されていた。ある日、300年に一度、人間と共に暮らしていたが、傷つき恩を仇で返す、人に災いをもたらす大蛇が再び舞い戻ってくる気配がしていた。大蛇は、空が曇って来て、暗闇となった、曇天になると、覚醒するという。街人たちは怖がったが、天火は大蛇も街も救って見せると笑顔で言い切っていた。天火のその言葉に、空丸、忠太郎も日々、刀の特訓をするなどし、その日を待っていた。その裏で、山猫と天竜は、大蛇をわざと覚醒させ、一世を風靡することを企んでいた。
曇天に笑うのネタバレあらすじ:承
街で会合が行われ、天火、空丸、忠太郎が参加すると、そこには山猫のメンバー、蒼生も来ていた。大蛇が覚醒する前に、もう一度力になってもらえないか、山猫のメンバーに戻ってこないかと天火を誘う。実は天火は、昔、山猫として働いていた過去があったのである。しかし、空丸と忠太郎が戦で両親を亡くした姿を見てから、メンバーから脱退したのである。天火は、蒼生に今は人と闘うより、人を愛す方に人生が変わったと頼みを断る。その場にいた、空丸と忠太郎は自分の両親が、毒を飲んで死んだと聞かされていたので、何故言ってくれなかったのかと驚き慌てふためく。天火は幼い空丸と忠太郎にはまだ受け止めきれない悲しい現実であると、推測し、嘘をつき、成長して、一緒に戦える武士になってから全ての真実を話そうと思っていたと2人に話す。天火の背中には、空丸と忠太郎を守るために敵から刀で刺された背中の大きな傷が残っていた。空丸と忠太郎は、それを見て天火の愛を再び確認し、3兄弟は抱き合う。天火は、大蛇は人を憎んで、恩を仇で返したが、憎しみからは何も生まれない、笑って過ごせる世の中を作りたいと申し出る。その頃山猫では、大蛇覚醒と共に、2つの剣を交換することを条件に話が進んでいた。この二つの剣は天火が空丸、忠太郎の両親から引き継ぎ、雲家に保管されていた。
曇天に笑うのネタバレあらすじ:転
大蛇覚醒が迫ってきたことを雲が霞む天候が続いていたことが物語っていた。空丸は兄に守ってもらってばかりで頼り切りな自分が嫌になり、山猫の家に行き、刀の勝負の相手をして欲しいと頼み込む。最初こそ、手も足も出ず、負けているかのように見えたが、空丸は必死に立ち向かう。すると、突然、目の色が赤く変化し、まるで人が変わったかのようになり、みるみる刀さばきが上手くなり、その姿は、人を殺してしまいそうなほどの有様であった。これを見て、蒼生は、一度刀の勝負を中断させる。そして、空丸は帰り道、山猫のメンバーでトップの大政と出くわす。大政は大きな包丁のようなナイフで空丸を襲う。空丸は、とっさにまた目が赤くなり、包丁のナイフも俊敏に交わし、大政を倒した。これにより、大蛇を覚醒させる天性の人物が、空丸であることが発覚する。空丸は、体に違和感を覚え、ヘトヘトになって帰宅する。天性の人物に変化する真っ只中であり、顔も銀の魚のうろこ状に容貌が変化しつつあった。天火は、帰宅した空丸を見て、二つの刀を取り出す。実は二つの刀は、大蛇を封じ込める力のあるものだったのである。天火は空丸に刀を使い、元の姿に戻るように刀を刺そうとするが、次の瞬間、電気が真っ暗になってしまう。暗闇になった部屋の天火の後ろには白子がいた。白子は大蛇の天性である空丸が覚醒する時を待ち望んで、この家にやってきたのだという。まさに空丸が変化するこの時を待っていたと言い、天火を殴り、気を失わせてしまう。空丸は山猫の罪人が監禁される拘留所に四肢を手錠で固定され、身動きできなくなってしまう。
曇天に笑うの結末
部屋で目を覚ました天火は忠太郎の呼びかけによって目覚め、怪我の手当てをしてもらう。そして空丸を救いに、山猫の拘留所にひとりで出向く。拘留所には、白子と白子の兄、天竜が待ち構えていた。白子と天竜、山猫は罪人全員に天火を抹殺するように命じる。天火にいっせいに、何百人もの罪人が襲いかかる。天火は空丸のため、刀と体を使い、ひとりで大勢の敵を相手に、罪人たちを倒していく。しかし途中で体力に限界が訪れ、倒れ込む。空丸は、体の大部分が魚のうろこ状になり、大蛇の天性となり、覚醒する間近であった。空丸は兄貴!兄貴!と助けを求める。その声が聞こえてはいるが、天火は肉体的にボロボロになっていた。そこで、蒼生がひとりで何百人も相手にして、弟を助けられると思ったのかと天火に尋ねる。天火は空丸のためなら命も惜しくないと返事する。蒼生は天火が昔、山猫の仲間だったことから、気が変わり、空丸を助けるメンバーに変化する。蒼生により、新しい作戦がスタートする。それは、空丸を大蛇の天性となり覚醒するのをあえて待つという作戦だった。空丸はみるみる、魚のうろこ状に体が包まれていく。しかし、大蛇が覚醒したその瞬間に、何故か空丸の身体のうろこは取れて、人間へと戻ることに成功する。覚醒した大蛇により、街はまさに曇天となるが、天火は最後の力を振り絞り、空丸、忠太郎と共に、大蛇に人間の命に感謝する恩恵があるなら、出ていってくれと願いをこめて、2つの剣を3人で大蛇に向かって刺す。大きく光が放たれ、大蛇は封じ込められる。白子は天竜を殺して、自ら、風馬の一存がある限り、大蛇がまた300年後に訪れてしまうことを悟り、曇天の空へと吸い込まれて自殺する。全ての事が終わった、天火・空丸・忠太郎は、大蛇がいたこと、そして白子が死んでしまったことが信じられないと落ち込む。しかし天火は次の瞬間、こんな時はどうする?と空丸・忠太郎に尋ね、自分の言葉に自分で返事する。「笑え」。街には平穏な生活が戻るのだった。
以上、曇天に笑うのあらすじと結末でした。